暇人映画レビュー

バカが書いた映画レビューです 初心者なので拙いですが、よろしくお願いします

『ヘイトフル・エイト』(2016)

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•概容

舞台は南北戦争が終わってすぐのアメリカ。難ありの8人が吹雪の為一時的に避難した小屋に集まった時、悲劇が始まる。
70ミリ上映ということで話題になった。
今作、タランティーノ長編映画監督作品として8作品目であり西部劇は前作の『ジャンゴ 繋がれざる者』に続き2作目。

•感想

一度タランティーノ監督が書いた脚本がネット上に流出し一時は公開が危ぶまれたが友人でもあるサミュエル・L・ジャクソンの説得もあってか話の展開を若干変え撮影を開始した。
同監督のみんな大好き『レザボアドッグス』に次ぐ密室劇犯人探しミステリーだと事前の情報であったのでこれまた期待してしまう。
まあつまらないということは絶対にないだろうと、そこそこ安心した心持ちでいざ鑑賞へ。

結論から先に述べるとこれは『レザボアドッグス』と一見似ていてもどちらかと言えば前作『ジャンゴ 繋がれざる者』、前々作『イングロリアス・バスターズ』同様ハッキリとした怒りのメッセージが込められた、タランティーノ作品の中では比較的攻めた作品であった。
映画全体の時間は2時間半あり結構なボリューム。普通の映画(?)では2時間半はかなり長めではあるがタランティーノ映画の独特な雰囲気にどっぷり浸るにはかなり適した時間であると言える。
まずは今作に出てくる登場人物のめちゃくちゃ簡単な紹介から。

①哀愁を感じさせる外見だが心の内は黒人差別をしてきた者たちへの溢れんばかりの憎悪が込められた黒人。
②生死問わない賞金首を縛り首にしもがき苦しむ姿を見るため生かしておくというモットーを持った賞金稼ぎ。
③その賞金稼ぎに捕まったタフな女犯罪者。
④新任保安官でどこか初心だが、保安官着任前は黒人虐殺に一役買っていた男。
⑤明らかに嘘で塗り固められた訳ありカウボーイ。
⑥どこか鼻につくような胡散臭さを感じるジェントルマン被れの処刑執行役人。
⑦一見人柄はかなり良さそうなメキシコ人。
⑧過去に南北戦争で黒人大虐殺をしていた元将軍。

とざっくり。
軽度なネタバレになってしまうがとりあえず全員悪人である。嘘で塗り固められた悪人が同じ屋根の下で一夜を共に過ごさなければならない。お互いを探らず不干渉で部屋の隅々で一夜を共に過ごせばこれ幸いではあるがそんなことはもちろんなくタランティーノ節炸裂なトンデモ展開がされ地獄絵図と化していく娯楽性満載の密室劇が起こるのである。笑うしかない。笑いっぱなし。
ここで着目したいのが様々な人種がいるということである。黒人、白人、イギリス人、メキシコ人、男性女性、この多種多様な人間達が同じ屋根の下で過ごす、正にアメリカ合衆国そのものである。その小屋で行われているのは黒人差別、黒人の白人に対する憎悪、過度の女性差別、イギリス人の胡散臭さ、メキシコ人への対応と正にアメリカが南北戦争以後辿ってきた歴史そのものを体現している。
先に述べた通り今作は同じ密室劇である『レザボアドッグス』よりかはどちらかと言えば前二作の『ジャンゴ 繋がれざる者』、『イングロリアス・バスターズ』と似ている。強烈な怒りのテーマを感じるからだ。
ジャンゴ 繋がれざる者』は黒人奴隷が主人公で白人達をバンバン撃殺し同士達を解放するという内容。ここで重要なのは黒人奴隷を解放したのが黒人である、ということである。劇中描写されている黒人への拷問、扱いは正直目を背けるようなことばかりであり終始そのようなシーンが続く。しかしそれはフィクションではなく全て実際に起こっていたことであり人類史の汚点である。ただ映画自体は全くもってノンフィクション。タランティーノはあくまで"娯楽作"として黒人差別を語り、その時代ではいるはずもない黒人ヒーローを創り上げたのである。
これは『イングロリアス・バスターズ』にも言える。第二次大戦時にドイツが行ったユダヤ人迫害、映画フィルムの廃棄は事実で目を背けたくなるが思いっきり脚色したフィクション映画であり、ファンタジーな世界である。
今作も同様アメリカではこの小屋で起きためちゃめちゃなトンデモ展開同様のことが起こってきて、タランティーノなりの皮肉が効いている。そんなトンデモない皮肉をもB級テイストに仕上げて極上のエンターテイメントにしたタランティーノの手腕が凄まじいとしかいいようがない。

他にも、あ、タラちゃんはやっぱ映画沢山観てて本当に大好きなんだなぁと思わせるぐらい莫大なオマージュの嵐と緻密に計算され尽くした小物と登場人物の絶妙な配置、さりげに貼られている伏線、そしてなにより際どいカメラワークが効果的。

•まとめ

タラちゃん特有の会話劇の嵐なので好きな方は楽しめる。あまり得意ではないという人でもミステリー要素があるのでそれなりに楽しめる方ではある。
日本ではあまり話題となっていない作品ではあるが、個人的に2016年暫定1位の作品。
ぜひ劇場まで!

『マネー・ショート 華麗なる大逆転』(2016)

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•概要

リーマンショックをいち早く予期しその恐慌に投資をしていた4人のアウトローなトレーダー達がいた。そんな4人(4グループ)の予期するまでの過程を、この悲劇が起こることを予期するはずもないごくごく普通の国民達の生活風景を交えながら描いた金融ドラマ作品。
第88回アカデミー脚色賞受賞作品であり、監督賞、作品賞、その他諸々全部で5部門にノミネートされた。

•感想

リーマンショックを題材にしているということで鑑賞前にちょちょっと軽めにリーマンショックとは何か、そして原因についてを頭に入れて鑑賞。煽り文句が《世界経済の破綻を予期した4人のアウトローがいた》といったものだったのでスコセッシ監督の『ウルフ・オブ・ウォールストリート』のように人間ドラマの中に金融経済事情を挟んだヒューマンドラマなのかと想像していたこともあり、少々準備しすぎた感は正直あった。
そして鑑賞へ……。
結果、事前に詰めといた軽知識がなんの意味もなさないほどの経済用語の嵐。開始5分でそれを察知。自分と一緒に同じ劇場で鑑賞した観客の半分以上は完全に理解できる内容ではない。自分がバカであるからと言えばそれまでだが恐らく上記に書いた通りである。本当に着いて行くのもかなり困難な話。
しかし今作、自分が着目した点はテイストである。ストーリーは誰も予期できなかった金融経済破綻までを描いたもの。つまり当たり前だと思っていたことが突然当たり前ではなくなる、固定観念の破壊である。そして重要なのが、それが実際に起こったノンフィクションであるということ。このようないつ起こってもおかしくない大災害同等の経済破綻(しかもつい最近)を題材としているにも関わらず映画テイストは驚くべきことにコメディ。 
思えば今作を監督したアダム・マッケイは過去に『俺たちニュースキャスター』という映画を撮っている。これはコメディ畑の重鎮ウィル・フェレルの面白おかしいおバカコメディ映画であるように見せかけて実は1970年代のアメリカでの明らさまな女性差別問題を笑いに変えた、エッジの効いたブラックジョーク満載の作品。同監督作品では他にもいい年したニートを主人公にし美化した『俺たちステップブラザーズ』や他人の不幸を自分の出世に利用しようとする愚かな男を主人公としたコメディ映画『アザー・ガイズ 俺たち踊るハイパー刑事!』といった主に笑えない話を笑い話に変えるが、重要な警鐘事はしっかりと提示するという一貫性がある監督である。
しかし今作の凄いのはテイストがコメディチックだが全体的にはシリアスなところ。ちょくちょく笑えないブラックジョークを挟んだり、作品の内容及びこれから起こる経済破綻という悲劇とは場違いなシーンの挿入などを図りなんとなく軽めの作品に仕上がっている。もちろん語られていることはかなり重い。しかしなんか笑えてくる、なんか可笑しい。このブラックジョークとシリアスのバランスが絶妙。このバランスを保ちつつあくまで史実通りに、ドキュメンタリー風に撮っているということも手腕が発揮されていて印象的であった。
しかし逆にこの史実通りという路線が吉と出たとは限らない、とあくまで自分は感じる。
というのも主人公は4人であり、それぞれが別々のルートを辿って経済破綻を予想するのだがこの4人が1回も交わる事がない(一度、同じ会場に2人がいる時はあったが)。4人それぞれのストーリーが独立していてアンサンブル性、映画としてのエンターテイメント性が欠如していてキャラクターの魅力は感じたもののそれぞれに深くは没頭する事ができなかった。そしてやはりなんといっても内容の難解さ。恐ろしいぐらいつるべ打ちの経済用語のせいでイマイチどのような状態状況に陥っているのか、または陥るのかが掴みにくく副題でもある【華麗なる大逆転】(決して華麗ではない笑)の大逆転に対しての爽快感は感じにくい。

•まとめ

監督の一貫性を垣間見れる作品にはなっているもののイマイチ伝わりにくい内容、題材という事もあって人を選ぶ作品であることは間違いない。金融経済を知っておいたほうが今作の面白味が確実に増えるが、自分みたいに中途半端に知識を入れておくのはかえって逆にボコボコにされ悲しい感じになるので気をつけて!!
脚色賞おめでとうございます。

ど素人目線から観た『アメコミが元のヒーロー映画5選』

  2015年はマーベル映画が盛りだくさんでした。そして2016年はDCコミック映画が盛りだくさん公開予定ですね。もちろんマーベル作品はほぼ観ました。そして今後公開予定のものもなるべく全て劇場で観る予定です。
  しかし自分、マーベルもDCコミックも読んだことは一切ありません。なのでそれらが元の映画をみても「オリジナルとはまた違った展開で面白い!!」、「漫画であったあのシーンを映像で見れることができるとは!!!」などといった感動を味わうことがなく、ただただストーリーが面白いか、キャラが魅力的だったかがその作品の判断基準です。

  おそらく自分みたいな人が多くいらっしゃると思われます。そんないわゆるヒーロー映画が素人な自分が本当にこれは面白い!!と思ったヒーロー映画を5作品勝手に紹介したいと思います。

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新たなるバットマン役としてクリスチャン・ベイルを招き、ノーラン節炸裂の新バットマンシリーズ第二弾。

  同監督一作目では大富豪のブルース・ウェイン(クリスチャン・ベイル)がバットマンになるまでを描き、今作は最凶の敵ジョーカーを相手に"挫折"と"敗北"を味わうといった内容です。

  バットマンは過去作が多く、中でも有名なのがティム・バートン版の『バットマン』。この作品も悪役はジョーカーです。悪役が同じということでよく今作と比較されていますが、それはナンセンス。そもそも作風が全く異なるのでよりアメコミに近づけたほうがいいのならバートン版、現実に近いシリアスな作風ならノーラン版とただただ好みの問題であります。

  今作は演出から俳優の演技、脚本全てが見事なのですが自分があえて素晴らしいと感じた部分を上げるとするならば、それは一貫した"路線"。
  今までのバットマンシリーズはどこかファンタジックな雰囲気を醸し出す背景、街の造り、そしてヒーロー映画らしい(?)音楽、単純明快なストーリーとなっていますが、今作は一風変わってよりリアルに、より淡々と、バットマンをヒーローではなく、一人の"人間"として扱っています。その反面、悪役のジョーカーは一切素性が明かされず、なにを考えているのかわからない不気味な"バケモノ"扱いされることによって、よりバットマンの人間味を感じることができました。
  全体的にはリアルなつくりになっていますが、随所随所で挟まれるファンタジックなモノが妙にバランスをとれていて、この絶妙なバランスが見事です。
  今作はアクションシーンもCGをなるべく使わず迫力がありますが、やはり登場人物一人一人の心情の変化を楽しむ作品であると思いました。

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  監督は前作『スパイダーマン』同様、サム・ライミ。主演は、冴えない男子がどハマりなトビー・マグワイア

  なにやら今後良からぬ事が起こりそうな前作から二年の月日が経ち、スパイダーマンとして悪役を倒しながら学校にも通っているが、やはり勉強のほうが疎かになっていて落第寸前。親友のハリーとはうまくいっているものの、憧れの美女(笑)MJとの距離は開いていく一方。そうした不安定な生活を送る中、新たなる強大な敵が現れる。

  サム・ライミの代名詞、アクションシーンでのスローモーションの多用が今作非常に効果的に使われています。今観ると少し見劣りしてしまいますが、当時はなんてすごいアクションシーンなんだ!!と思ったほどCGもキレイ。

  しかしアクションシーンが一番の見所ではありません。今作の一番の見所は何と言っても主人公ピーターの"葛藤"です。自分の逃がしたチンピラに伯父さんが殺されるという過去を持っているためか、街で暴虐の限りを尽くす悪人からチンピラまでの逮捕に徹底的に協力していますが、その一方で学業、友人関係が乱れていき、ピーター自身が不安定になっていくこの一連の流れが非常に丁寧で感情移入しやすく、痛々しいです。

  こちらも『ダークナイト』同様、ヒューマンドラマを楽しむ作品であると思いました。

  • 『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(2014)

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  リアルキック・アス『スーパー!』でおなじみジェームズ・ガンを監督に、『ジュラシック・ワールド』で有名な甘いマスクを持つクリス・プラットが主演を果たした今作。

  少し話がズレますが、SF映画の歴史はとても長いです。そしてSFというジャンルは非常に幅広いものです。例えば『ハリー・ポッター』などと言ったファンタジー映画もSF。『マッド・マックス』『ブレードランナー』などの荒廃した近未来世界が舞台の作品もSF。『バック・トゥー・ザ・フューチャー』のようなタイムパラドックスを扱った作品ももちろんSF。他にも挙げたらキリがないぐらいにSFというジャンルは様々なものに枝分かれしています。
  今作はその中では宇宙冒険活劇、いわゆる"スペースオペラ"に分類されます。スペースオペラの代表作はご存知の通り『スター・ウォーズ』『スター・トレック』『バーバレラ』などがありますが、いかんせん有名作品が少ない!!そしてハズレが多い!!人間以外の着ぐるみ系宇宙人が苦手な人が多い!!と盛り上がりに欠けるジャンルです。
  ここで出てきたのが今作『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』。ヒーロー映画ではありますが、立派なスペースオペラ作品です。今作の成功した鍵は今までのスペースオペラ的要素のいい部分を踏襲し、世界観を壊さない程度に地球との繋がりを見せた新スペースオペラを作り上げたことだと感じます。
  詳しく話すとキリがないのでここまでにしておきますが、人によってはどハマりする作品だと思われます。
  お見事!!!!

『X-MEN フューチャー&パスト』(2014)

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  自分たちよりくそつええ奴らが現れた!!勝てねぇ…どうしよう………そうだ!!!その奴らが誕生した時代に戻って防げばいいんだ!!よし!戻るぞ〜!
といった超絶ご都合主義なストーリー。


  昔から今まで根強く残る人間の差別問題。人間は非常に自分勝手な生き物です。今まで憧れだった対象が一瞬でも脅威に見えちゃうと態度を一変し、我々人間様にとって害のあるものと見なし排除しようとする。
  今作のシリーズはヒーロー映画の皮を被ってはいるが、本筋は人間の自己中心的思考を皮肉った作品だと感じました。友を殺された者が、復讐をし、そしたら殺された側の親類が復讐しにくる、そしたら殺された側の親類が…と永遠に殺しあうこの負の連鎖の影を忍ばせつつ、スーパーパワーを持つ超人同士の破茶滅茶なバトルが展開されていきます。
  
  そして今作は、X-MENの世界上での負の連鎖に終止符を打った作品です。クライマックスの演出が本当に見事です。一応続編もありますが、今作の出来は最高にいいのでこれで終わりでもいいのでは?と思ってしまうぐらい素晴らしいものでした。

『スーパーマン3』(1983)

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  今回のテーマで最後に紹介する映画はこの『スーパーマン3』!! 
  最後に紹介するには相応しくないぐらい低評価の声が多い今作。ヒーローと聞いたらまず浮かび上がるのがスーパーマン(個人的にです)。何故3?3ならまだ1、リターンズのが面白いって思われてる方がいると思います。確かに今作はスーパーマンシリーズで1番迫力、勢いがないと言っても過言ではありません。それどころか悪役は結局頭がいいのか悪いのか、実際に悪い奴なのかなんなのか、つまり中途半端。
  では今作のなにに惹かれたのか?答えは簡単そのヒーロー映画になりきれない中途半端さです。
  今作、題名にしっかりスーパーマンが入っていて一応公式のヒーロー映画ではあります。しかし蓋を開けてみればスーパーマンをパロッたドタバタコメディでした。
  なんて言えばいいんでしょうか。今作を観たのが最近だったということも絶妙なタイミングだったと言えます。近年マーベルがクライマックスに向けてより重厚度が増した作品が多く、それに合わせるかのように他のヒーロー映画もシリアスになっています。それはそれでかなり満足はしてますが、ずっと油ののった牛丼ばっかりだとやはり飽きてきます。たまには立ち食いそば屋でささっとかけそばを食べたいものです。そういった気分のときにはかなりオススメです。
  しかしあまり評価が良くなく、ヒーロー映画として観たら迫力も皆無です。あくまでスーパーマンのパロディとして観ることをオススメします。





  以上です。
  ヒーロー映画はただのアクションではなく、そのヒーロー又は悪役が一体何を意味しているのか、そういった深読みして観たらより魅力が増し、哲学的にも深い映画が多いです。そしてキャスティングによって大きく評価が分かれるジャンルだとも思えます。
  

  個人的に『デッドプール』が楽しみです。

  一体いくら稼げばいいんだマーベルよ!
  

『アフターショック』(2012)

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タイトル名アフターショックとは"余震""余波"という意味があります。おそらく今作は後者のイメージが強いですが、どちらにもかかっているでしょう。というのもお分かりの通り今作のストーリーは簡単に言うと、

地震が起きて街が崩壊し、パニック!!!

そう聞くと最近上映されたドウェイン・ジョンソン主演の『カリフォルニア・ダウン』と酷似したディザスターパニックムービーだと思われるかもしれません。
自分も観る前はそう思っていました。しかし一つ懸念材料が…


そう、イーライ・ロスとは過去にただただいろんな拷問シーンを観せられるだけの『ホステル』や食人族が出てくる『グリーン・インフェルノ』といった変態的内容が好きな映画監督であります。
なにやらただのパニックムービーでは終わらない気が…と思っていました。

予想は的中、主人公だと思っていたやつがあっさり死ぬイーライ・ロス節炸裂のディザスターパニックムービーの皮を被ったスプラッタースリラー。

地震が起きてからの地獄絵図は見事でした。画面のどこに目をやればいいのやら。あちらこちらでいろいろなことが起こっているので情報量が膨大です。そしてそこからが見所。刑務所の囚人が全員脱獄!その囚人達が普段の溜めていたストレスを発散し出します。男は拷問!女はレイプ!もうやりたい放題!!

とまぁなんか自分すごいイーライロスが好きみたいな文になっていますが、正直な話別に彼の作品は好きではないです。今作も別に面白いとは感じませんでした。
しかし監督の一貫したゲスい趣味映画を撮っていることには好感持てます。

暇な方はぜひぜひ。

『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(2015)

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〜ストーリー〜

  核戦争によって荒廃し、金貨より水と石油の方が価値がある近未来世界。
  主人公のマックス(トム・ハーディ)は、水と石油と武器を支配する悪玉ジョーのことを裏切った元右腕のフュリオサ(シャーリーズ・セロン)と、ジョーが捕らえていた子産み娘と共に自由へと逃走する。
  果たして彼らは無事に逃げ切れることができるのか?そして、逃げた先に自由はあるのか?

〜感想〜

  今作公開年は機が熟したと言わんばかりに過去の名作シリーズ続編、リブート作品が沢山公開されました。一つ一つ挙げるとキリがないので省きますが、恐らく公開されたそれぞれのリブート作品に強い思い入れがあった方が多いと思われます。個人的にその作品たちに対して懸念していたのは「それぞれ創り上げてきたその作品の"世界観"が無事に継承されているかどうか」、そして「過去作のファンを大事にした作品であるかどうか」の二点でした。
    
  大体の作品は過去作に出ていた出演者が主役にしろ脇役にしろその役で登場していたので、そのキャラの若かりし頃のシーンとかを鑑賞中に頭の中で浮かべて懐かしむと同時に目頭が熱くなったりもしました。
  
  しかし今作『マッドマックス 怒りのデス・ロード』は公開前、非常に不安でした。理由は簡単マックス役がまさかのまさか、メル・ギブソンではなかったからです!決してトム・ハーディが嫌いだったとかではないのですが(むしろ好き)、やはり80'sディストピア作品の代表作になったのはメル・ギブソンのおかげです。それぐらいマックスがハマリ役だったメル・ギブソンからトム・ハーディにまさかのバトンタッチ。
  歳を考えるとこれが順当なのでしょうが、やはりファンとしては悲しい気持ちになりました。
  それに監督のジョージ・ミラー。彼の続投は嬉しいニュースでしたが最後にマッドマックスを撮ったのは1985年の『マッドマックス/サンダードーム』(出来はあまりいいとは言えませんが…)。それ以降はなにやら不気味なぐらい小綺麗な豚野郎が都会に行っちゃう話や不気味なぐらい歌が上手いペンギン共の成長期を描いたりとアクション作品とはだいぶかけ離れた作品の製作をしていました。正直な話、やべえぞ…大丈夫かよ……と思っていました。笑

  上の文面でも分かる通り期待:3不安:7と期待はあまりしていなかったです。
  
  とか言いつつもやはり気になるので公開日当日に視聴…。

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  観終わってまず思った一言は  

  ヤッベェ

  でした。笑

  冒頭、今までに見たことがないぐらい穏やかで透き通った青空と一面に広がる砂漠の世界。それを高台で傍観する新マックスが軽くこの世界についてを語り始める。美しい風景とは裏腹にマックスの口から語られる言葉は聞くに堪えないことばかり……そしてなにやら起きそうな予感……。
 この風景に見惚れるのも束の間、急に爆音が流れ始めこれぞマッドマックスと言わんばかりのモブ悪役共が唸り声を高らかに上げ、改造車でマックスを追う。
  いきなりかよ!!と思った矢先すぐにマックスの愛用車"インターセプターV8"はひっくり返され大破し、マックス本人も捕まってしまう。
  え!?
  マックス背中をイジられてる最中に急に暴れて脱出。狭い通路を縦横無尽に逃げるマックスとそれを追うなにやら全身が白塗りの危ない雰囲気の男たち。逃げて逃げてようやく外への扉らしきものを見つけて力一杯開けるとそこはまさかの断崖絶壁。前は断崖絶壁、後ろは白塗りの変態たち、万事休すか!?と思いきやいきなり前にジャンプしクレーンの先っちょに無我夢中でしがみつく。しかし必死の抵抗も虚しくマックスはまた白塗りの変態たちに捕まりここでタイトルロゴ、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』。

  これはヤバイ……これはヤバイ…マズイぞ…。冒頭からタイトルロゴしか観てないのにすでに鳥肌ぶわぁぁー状態。


  この後の一つ一つの展開もかなり"ヤッベェ"だったのですが、書いていたらキリがないのでここら辺でやめておきます。笑

  
  とりあえず本編、見事なまでに人間ドラマなどの説明がないです。キャラの魅力、世界観、ストーリーは全てアクションで語ってやると言わんばかりに終始アクション。潔い。緩急など存在しない、常に急。フルスロットルで120分が過ぎていきます。なのでストーリーとかは結構ペラッペラ。しかしそのペラッペラなストーリーを補うどころか、そんなんどうでもいいと思わせてくれるカーアクションの出来が非常に見事。CGをなるべく駆使せず、車の爆発などは 全部実際にやっていてマイケル・ベイ顔負けの迫力 です。殴り合いとかも一部早回しにしスピード感を出すなど様々な工夫がされています。
 兎にも角にもアクションが軒並み以上です!

 
   しかし仮にも主人公はマックスです。一応過去に救えなかった女の子の幻覚が見えたりと人を助けること、他人のために何かをすることにトラウマを抱えているという設定はありますがそれがあまり上手く活かしきれてなく、主人公感が薄いことは気になりました。トム・ハーディは良かったのですが、やはりマックスはメル・ギブソンだなというのが正直な感想です。酷評している方の言いたいことも十二分に理解できます。

  とは言ったもののやはり今作は胸を張ってシリーズ1面白かったと言える作品です。
  しつこいようですがアクションシーンはかなり凄かったです。臨場感も迫力もありましたが、なにより勢いが凄かったです。もちろんアクションシーンだけでなく人間の色彩をなるべく抑え、より色艶やかに輝いていた背景、それをする意味があるのか??と思わずツッコミたくなる二重のキャデラック、その他小さな小道具、服装などにも注目です。
  
  
  まだ未鑑賞の方、後悔してますよ!!

『キングスマン』(2015)

ストーリー:行き過ぎた考えを持ったエコロジストのヴァレンタインの大量虐殺を阻止すべく、どこの国にも属さないスパイ組織(キングスマン)が出動する
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去年2015年に公開された今作は個人的に下半期のいいスタートダッシュを決めたスパイ・アクション映画の初陣でありました。
スパイ映画本家である『007 スペクター』
マドンナから逃れ復活を目指すガイ・リッチー監督の『コードネーム UNCLE』
まだまだやれるぜ!!と言わんばかりのトム・クルーズ主演『MI5』
などなど多くのスパイ映画の中、今作がやはり一際輝いていたなという印象はありました。
そしてスパイ映画史にも深く名を刻んだのではないでしょうか。

というのも理由は明確。
原点回帰です!
出来事はよりリアルに
登場人物はよりクールでしかめっ面に
といったシリアス路線のスパイ映画が多い中、今作を観た方はお分かりの通り、全体的にポップに仕上がっています。
しかし登場人物は大体クールでしかめっ面です。古き良きおバカスパイ映画と現代のシリアススパイ映画が見事に、絶妙に混ざり合った懐かしいようで新しいスパイ映画に仕上がったのが今作です!

ただのスパイ映画ではありません。
主人公がスパイ活動するのは物語の終盤の方で、序盤〜中盤は恵まれた才能を棒に振っている不良少年が啓蒙され、立派な漢になるというヒューマン・ドラマにありがちな展開です。

これも面白いなと思ったのが、スパイ養成学校の存在です。ここでは各国から集められた才能ある若者逹が真のスパイになるために数々の試練を受けます。時には協力し、時には裏切り…
まさに学園ドラマです!


そしてなにより絶賛な今作が1番評価されているアクションシーン。
マシュー・ボーン色の強いアクションシーンでした。
マシュー・ボーン監督のアクションシーンは『キック・アス』のクロエちゃん無双然り、今作のワンカットアクション然り、バンバンに人が死んでいきます笑
そこらへんに落ちているものが全て武器になり得ます笑
思わず、やり過ぎだろ… なんかすごい不謹慎…
と思うも何故か不快ではないです。
というのも極力ゴア表現を無くし、タランティーノみたいな傷口から血がぶっしゃぁぁーなシーンも控えめです。
コリン・ファースの教会での無双シーンのカメラアングル、ポップな音楽、そして乱れる前髪全てが絶妙なんです!!このワンカットアクションシーンがおそらく監督の代名詞となると思われます。


そして迎えるクライマックス………祭りです笑
まさかスパイ映画で「威風堂々」が流れるなんて…笑
やっていることはかなりえげつないんです!
そこをかなりハイセンスな音楽と、完全に消したゴア表現で見事に誤魔化してます。不快どころか爽快です笑拍手したくなりました。
観ていない方は期待してください、度肝抜かれます。観終わった後はラストの祭りシーンがインパクトありすぎて内容忘れます。それぐらい強烈、つまり最高なシーンです笑


自分の感想をまとめると
昔と今のスパイ映画のいい部分だけとり、それに1人の青年の成長記と誤魔化の効いたアクションシーンをマシュー・ボーン風に仕上げた懐かしいようで新しいスパイ・アクション映画だということです!
楽しかった!!

『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』(2015)

様々な世代に今もなお愛されているSFスペース・オペラ作品!作り込まれた世界観、各キャラクターの魅力、レーザー砲!!エピソード7公開日に観てきました!

FOXファンファーレがなくなったり、監督がルーカスからJJに代わったりと少し不安があったのは確かですがやはり予告編を観直すとその一抹の不安が払拭されるパワーがありますね、やっぱり。

まず感想から述べると非常に迫力がありました!!!そう、迫力が並じゃなかったです。流石JJ!!

ちょくちょくカメラワークはルーカスとは違うなぁとは感じたものの、スターウォーズ特有の場面切り替えに砂っぽく古臭いサビついた未来的ガジェット、傷の跡が目立つX-ウィング!!

まさに40年前に公開されたエピソード4の世界が最新の映像技術で蘇った感じでした!!

まあここまでは予想済み。というより皆さんの必須事項だったと思います。まず世界観が違かったらスターウォーズじゃなくなりますもんね!

問題は旧キャラによるファンサービス、新ストーリー新キャラの魅力だと思います

まずあれですね、観たのならわかると思いますがファンサービスの方は簡単に言うと

最高

でしたね。

なにが最高かというとまずオープニング!このドゥーン!!がないとね、いけませんよね。

くる…くるぞ……くるぞ………!!と分かっていてもやはりあのオープニングタイトルをみると感動しますよね。貫禄があります!!

個人的に一番鳥肌が立って思わず声に出して叫びそうになったのは我らがミレニアム・ファルコン号の再登場でした。

相変わらずポンコツ呼ばわりされてたり、ハイパードライブによるトラブルは健在でしたね笑アクロバティックな飛行は見事でした。

そしてハンソロの登場!!!ハンソロ!!ハンソロ!!!ハンソロだ!!! ………あれ?…ハン…ソロ?これはハンソロなのか?

ハンソロに対する感想はこれでした…。予告編で観ていたのである程度の覚悟はしていたのですが… 一つ一つの細かい仕草などでハンソロだ!!とはなったもののブラスターを持つ手が震えてたり、必死に化け物からよっこらしょと逃げてる姿をみて思わず

……老けたな…ハンソロ…

まあ老けに関してツッコむのは言っちゃいけない約束だと思いますが、やっぱり悲しくなりましたね。ただハンソロはハリソン・フォード以外ありえないので、ハリソン・フォードの起用はよかったです。

ここから少しだけ、ほんの少しだけ批判的な内容になります。

今作はエピソード6から30年が経ったという設定でしたが、反乱同盟軍は一体なにをしてたんだ!!というのが正直な感想です。

エピソード4であれだけ頑張ってデス・スターを破壊して、エピソード6では作りかけのデス・スターを死に物狂いで破壊したのに、今作ではデス・スターではないですがそれ以上の破壊力がある星型兵器が登場してました。作ってる最中に破壊しとけよ!!オシャレにX-ウィングの色違いとか作ってんじゃねぇよ!!かっこいいけどさぁぁ!!

あとカイロ・レン!このキャラクターは賛否両論ですね。

弱すぎる とか 厨二病だろ とか

これに関しては仕方ないと思われます。スター・ウォーズは言っちゃえばダース・ベイダーの人生ドラマです。まず結論から言うとダース・ベイダーは越えれないでしょう。これは確実だと思います。あ、フォースの力とかじゃなくて悪役のカリスマ性のほうです。カリスマ性は圧倒的にダース・ベイダーの方があります。それもそのはず、なんせダース・ベイダーは六作品すべてて魅力が語られているからです。ダース・モールとかグリーバス将軍とかもかっこよかったですが、所詮は一作品のかませ的悪役です。

それに代わってカイロ・レンちゃんは三作品の悪役を任せられてます。三作品で自分が悪役になるまで、そしてカリスマ性を見せていかなければならないというディスアドバンテージがあります。ダース・ベイダーに憧れつつも実は心のどこかでは自分のしていることに疑念を感じている中途半端な悪役でしたが、レンちゃんはこれからカリスマ性も発揮してくるでしょう!期待しましょう!捨てないで!切り捨てないで!レンちゃんを応援しましょう!!

弱すぎる…という意見には大賛成です。弱すぎます。精神が弱いのは上で述べた通り仕方ないことだと思います。ですが仮にもアナキンの血が通っています。それなのに、え!?ストームトルーパーに負けたフィンに傷つけられた!? 弱くね!?ってなりました。その前に被弾していて怪我していたのは確かですが、それにしても弱い。そもそも被弾するなよ!って思いました。

そしておそらく同じアナキンの血が通っているレイにも負けてました。惨敗してました。完敗です。流れているアナキンの血が強い弱いは関係あると思いますが、それにしてもここ一時間ぐらいでやっと自分にフォースがあることを知った相手に子供の時からルークに修行をしてもらって、そしてダークサイドにいってからは宇宙人ポール(グロテスクver.)みたいな奴に修行をつけてもらった奴がこうもあっさり負けるものなのか…と感じました。

まあレンちゃんはこれからですね。

あとはまあちょくちょくきになるところはありました。ジェダイじゃない者がライトセイバーを乱用していたり、悪運だけで絶望的な状況もギリギリで生き延びてきたハンソロのあっさりしすぎる死などなど。

ストーリーのほうもエピソード4とかなり似ていましたね。確実にこれは意図的だとは思いますが、やはりオリジナリティに欠けました!なんというか、映像事態はかなり迫力があったもののエピソード4のほうがハラハラドキドキしました。4のグレードダウンといった具合でしょうか。

結構批判的な内容ではありますが、決して面白くなかったわけではありません。スター・ウォーズが好きだからこその批判です。プレッシャーがかなりあったと思われる中、ここまで素晴らしい作品に仕上げたことに関してはJJ拍手です!!ありがとう!!

一つのSF作品としてみるとかなり面白かったです!!ただスター・ウォーズシリーズとしてみるとまあまあかなといった感じでした。

ただ今作だけで評価するのはナンセンスだと思います。まだまだ話は完結してません。エピソード8.9とある中、どのように展開し、どう完結するのか。楽しみです!!

フォースと共にあらんことを。

拙い長い文でしたが、最後までありがとうございます。編集の仕方わかんね。