暇人映画レビュー

バカが書いた映画レビューです 初心者なので拙いですが、よろしくお願いします

『顔のないヒトラーたち』

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ドイツ人自らがドイツ人を裁き、自国を見つめ直すきっかけとなったアウシュヴィッツ裁判。その裁判に至るまでの1人の若き検事の葛藤、苦闘を描いた作品。

戦後70年の月日が経ち、ドイツ同様に敗戦国であるわれわれ日本人にはかなり必見な映画だと思います。


【ストーリー】

舞台は1959年、フランクフルト。
主に交通違反の裁判を担当している若手熱血検事である主人公ヨハン・ラドマンが、元親衛隊(SS)の男が教師であるという情報を手に入れ、興味を持ち、一人で調査を開始する。そして少しずつ暴かれていくアウシュヴィッツ収容所での残虐行為、それを知ったヨハンはどこかで平和に暮らす元ナチス全員を戦争犯罪で裁こうとする話。

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【感想】

決して2時間では語れない、伝えられない重く、難しいテーマを見事に凝縮し再現できているところに監督の手腕の良さを感じました。
監督はジュリオ・リッチャレッリ。
調べてみたところ、なんと今作が監督として初の長編映画らしいです。恐るべし。

ストーリー展開は恋愛要素を絡めたり、主人公の想いに周辺の人々が徐々に呼応し始め協力していく感動があったりと決して終始重く、悲しい展開ではないのでエンターテイメントとしても見応えあります。
しかし部分部分で挿入される口頭ではあるが、残虐行為の説明、被害者が体験した収容所での身内の不幸、加害者の考え方、そして若者たちの収容所に対する無知具合が戦争の悲惨さ、戦後の問題を浮き彫りにしてきます。

収容所で残虐行為に加担した疑いのある男性を一目見ようと主人公が会いに行くシーン。その男性は周囲の人から親しまれていて戦時中、残虐行為をするようにはとても思えない、思わせてくれない描写が一番印象的でした。
善良な市民、心の優しい人を残虐なサイコキラーに仕上げる戦争の恐ろしさをそのシーンで感じました。


非常に重く、考えさせられる暗いテーマではありますが見応えのある、そして今こそ観るべき映画だと思います。オススメです!!


7点/10点中



追記:ヒューマントラストシネマ有楽町で鑑賞したのですが、トイレの個室2つにうんこが流されてませんでした。悲しい現実です。うんこに気をつけてください!